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英文契約書実務の基本〜具体事例からトラブルとなり得る論点を押さえる〜
12月 9日(月)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所 外国法共同事業 弁護士
大槻 由昭(おおつき よしあき) 氏
本講座は、英文契約書実務の「基礎的知識」について、要点を押さえてコンパクトに学びながら、各部分で実務上重要なポイントとヒントを豊富に習得できる講座です。
本講師は、大手法律事務所に所属する企業法務を専門とする現役の弁護士であり、企業法務の実務経験20年のベテラン講師です。米国のロースクールに留学後、ニューヨーク州の資格を取得し、英国及び香港の法律事務所での勤務実績もあります。また、国内の大手鉄鋼メーカーへの出向経験があり、同出向時に、主として東南アジア諸国の海外企業との英文による契約交渉の実績があり、その後、現在に至るまで、主として日系企業の各社様と海外企業との間での英文の契約交渉案件に、多数関与しております。
本講義は、上記のように、英文契約を使用するクロスボーダーの取引にかかる実務経験が豊富な講師が、英文契約の一般的(理論的)な解釈手法についてのみならず、実際の実務において、英文契約の解釈が問題(トラブル)となり得る論点などについて、具体的な事例を交えながら解説いたします。
1.はじめに(自己紹介など)
2.英文契約書の基本構造
★英文契約においては、和文の契約ではあまり見られない、独特の様式が採られている事例が多いため、まずは英文の契約の一般的なフレームワーク(契約の全体構造)と、それぞれの項目の契約における意義や機能について概説いたします。
具体的な項目は、以下のとおりです。
(1)冒頭部分(契約の締結日、前文、当事者の表記、定義条項及び解釈条項等)
(2)実質条項部分(当事者の具体的な権利・義務や、表明保証条項など)
(3)一般条項(Miscellaneous)※具体的な内容は、第5項で詳述します。
(4)契約の締結(調印)日、や当事者の署名欄
(5)添付書類(Annex、Schedule、Exhibit)
3.英文契約における条文構造(和文との文章構造の違いを中心に)
★契約を英文で記載する場合には、主語や述語の位置関係など、和文とは異なる文章構造となるため、英文契約を解読するうえで必須となる基本的な事項を解説いたします。
(1)主語と述語の対応関係。特に、英文特有の助動詞(shall、will、mayなど)の存在。
(2)定義語の表示の仕方について(和文の違いを中心に)。
(3)本文と、その但し書きの表記方法(「provided (however) that〜」や「unless〜」など)
(4)「if」節の使い方とその意義
(5)否定文(「No〜」や「Nothing〜」) など
※番外編:ためしに、和文の契約をそのまま翻訳したら、英文契約が完成するかどうか検証してみよう。
(講師注:「日本語の契約書をそのまま英訳すれば、英文契約が完成するのではないか、とお考えの方も多いですが、
本当にそう考えてよいのかということを、受講者の皆様と一緒に検証したいと企画しています。)
4.英文契約において特徴的な用語や言い回しについて
★英文契約においては、日常に使用される英語では馴染みの薄い、いわゆる法律英語(特異な言い回しや特殊な表現)が使用されることが多いため、その代表的なものについて解説いたします。具体的には、以下のような事項です。
(1)助動詞(shall、will、mayなど)の使い分け
(2)ラテン語の表記(「mutatis mutandis」、「pari passu」、「vice versa」、「de facto」、「inter alia」など)
(3)条文相互の関係性や優劣を示すもの:
「Subject to〜」や「Notwithstanding〜」や「Without prejudice to〜」や「Unless otherwise agreed」など
(4)契約当事者ではない者に間接的に義務を負わせるための言い回し:「shall ensure that〜」や「cause〜to do〜」など
(5)解釈規定(注意的規定)の特徴:「For the avoidance of doubt〜」や「For clarity〜」など
(6)努力義務の表現と種類:「shall use (best / reasonable) endeavours to〜」など
(7)誠実協議義務とその功罪:「shall discuss in good faith〜」など
5.英文契約における一般条項(Miscellaneous)とは
★英文契約においては、和文の契約の一般条項とは異なる一般条項が添えられるケースが多いため、その代表的なものについて解説いたします。
(1)一般条項の位置づけと役割について
(2)典型的な一般条項のご紹介:
守秘義務条項、不可抗力条項、分離可能性、完全合意、費用負担、準拠法、紛争解決(管轄)条項、契約上の地位の譲渡など。
6.実践編〜英文の株式譲渡契約を実際に読んでみよう〜
★上記1〜5までで学んだことを踏まえて、一つのサンプルとして、英文の株式譲渡契約(※)をベースに、講師が解説をいたします。
※サンプルとして使用する契約は異なる場合がございます。
2004年 東京大学法学部卒業、弁護士登録(第一東京弁護士会)。2011年 米国のUniversity of Southern California Gould School of Law (LL.M.)。2012年 ニューヨーク州弁護士登録。2011年 ロンドンのNorton Rose Fulbright法律事務所勤務。2012年 香港のWoo Kwan Lee & Lo法律事務所勤務。直近のセミナー開催実績:英文契約を題材としたセミナーとして、『いまさら聞けない「海外企業との合弁・M&A契約」の基礎がっちり習得講座』(2023年)、『海外企業とのM&A契約(実践編)〜株式譲渡契約(SPA)を題材に〜』(2023年)、『海外企業とのM&A契約(実践編)〜株主間契約(Shareholders’ Agreement)ケーススタディ〜』(2024年)、『海外企業とのM&A契約(実践編)〜株式譲渡契約(SPA)ケーススタディ〜 シリーズ2』(2024年)、令和6年度モザンビークLNG研修:「Major and Common Terms and Conditions of LNG SPA」など。直近の英文の著書:・Overview of current regulatory regime on hydrogen and fuel ammonia in Japan(2024年2月)。Recent Development of New Legal System for CCS Projects in Japan(2024年2月)。Mining Law (Japan Chapter)(2023年12月) など。