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【急成長するAI技術と知財保護】
〜肖像・声を中心とする法的課題の最新動向〜
4月24日(木)
早稲田大学 法学学術院 教授
上野 達弘(うえの たつひろ) 氏
生成AI技術の発展は、人間の声・肖像等の利用にも大きな影響を与えており、著名人の肖像を再現したディープフェイク動画による「なりすまし広告」、歌手や声優の声を無断利用した「AIカバー」動画、著名人の声・肖像を悪用したディープフェイクポルノなど、様々な問題が生じている。この問題に関して、日本では、著作権法上の隣接権制度、氏名肖像等を保護するパブリシティ権(判例)などがあるものの、様々なケースが想定される中、一体どのような場合に許諾が必要なのか明確でない。さらに、死者の権利やプロダクションの立場など、未解決の問題も多い。諸外国でも、新民法典(2022年)で肖像等の保護を定めた中国、不競法改正(2020年)によって氏名・肖像等を保護した韓国のほか、米国著作権局報告書(2024年7月)において連邦法上のパブリシティ権の創設を提案した米国など、多様な動きが見られる。日本においても、2024年10月以降、経産省の研究会でこの問題に関する検討が行われている。
本講演では、関連する過去の裁判例の紹介等を通じて、現状の到達点を明らかにすると共に、その将来についても展望する。
1.はじめに -- 生成AI技術の功罪
(1)ディープフェイク問題
(2)AIカバー問題
2.著作権法上の隣接権制度
(1)「実演」と「実演家」とは何か?
(2)実演家の権利はどこまで及ぶか?
3.パブリシティ権
(1)最高裁判決(ピンク・レディー事件)
(2)声も対象になるか?
(3)パブリシティ権はどこまで及ぶか?
4.諸外国の立法例
5.将来展望 -- 解釈論と立法論
6.質疑応答/名刺交換
京都大学法学部卒業、同大学大学院法学研究科修士課程修了、同研究科博士後期課程単位取得退学。成城大学専任講師、立教大学教授を経て、2013年より現職。著作権法学会理事、日本工業所有権法学会常務理事、ALAI JAPAN理事、法とコンピュータ学会理事長、文化審議会著作権分科会委員、知的財産戦略本部・AI時代の知的財産権検討会委員等を歴任。主な著書に、『AIと著作権』(勁草書房、共編)、『著作権法入門』(有斐閣、共著)、『特許法入門』(有斐閣、共著)、『〈ケース研究〉著作物の類似性判断』(勁草書房、共著)等。