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【AIによる著作権侵害の可能性とビジネスへの影響】
〜「機械学習パラダイス」としての日本の将来展望〜
6月15日(木) 終了済
早稲田大学 法学学術院 教授
上野 達弘(うえの たつひろ) 氏
生成系AIの急速な発展を受けて、著作権問題も大きな話題になっている。特に、①AIによる学習が著作権侵害に当たらないか、②AIによって生成されたコンテンツは著作権保護されるか、といった点が問題となる。日本は、世界で最も強力な情報解析に関する権利制限を有するため、AIビジネスの発展にとって極めて有利な「機械学習パラダイス」と言えるが、クリエイタなど権利者との調整も議論になっている。
本講演では、AIと著作権に関して以前から国内外で議論を展開してきた研究者が、世界から見た日本の状況を明らかにした上で、その将来を展望する。
1.はじめに -- 生成系AIと著作権をめぐる議論状況
(1)政府:自由民主党知的財産戦略調査会
(2)国際:早稲田国際シンポジウム(2023年6月10日)、ALAIパリ大会(同月22〜23日)
2.AIによる学習は著作権侵害か?
(1)日本法(2009→2018) --「機械学習パラダイス」?
(2)諸外国:英国法(2014)、欧州指令(2019)、スイス(2019)、シンガポール(2021)
3.AIによる生成は著作権侵害か?
(1)AIが過去に学習した著作物と類似するコンテンツを生成すると著作権侵害か?
(2)アイディア(=スタイル・画風・世界観)と表現の境界線?
(3)AI学習によって「依拠性」は常に認められるのか?
(4)「但書」は権利者を救うか?
(5)情報解析を禁じる契約・利用規約は有効か?
4.AI生成物は「著作物」か?
(1)AIによる生成 or AIを道具とした人の創作? -- プロンプトは「創作的寄与」か?
(2)立法論:英国法(Computer-generated work)
5.将来展望 -- AI発展と権利保護の両立
6.質疑応答/名刺交換
京都大学法学部卒業、同大学大学院法学研究科修士課程修了、同研究科博士後期課程単位取得退学。成城大学専任講師、立教大学教授を経て、2013年より現職。著作権法学会理事、日本工業所有権法学会常務理事、ALAI JAPAN理事、法とコンピュータ学会理事長、文化審議会著作権分科会委員等を歴任。主な著書に、『著作権法入門』(有斐閣、共著)、『特許法入門』(有斐閣、共著)等。現在、知的財産戦略本部「メタバース上のコンテンツ等をめぐる新たな法的課題への対応に関する官民連携会議」副座長、日本デジタル空間経済連盟「知的財産ワーキンググループ」座長も務める。