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「GXリーグにおける排出量取引制度(GX-ETS)」
4月20日(木) 終了済
京都大学大学院 経済学研究科 教授
諸富 徹(もろとみ とおる) 氏
いよいよ、2023年4月からGXにおける排出量取引制度(GX-ETS)がスタートする。企業は、当面は制度参加と目標設定を行えばよいが、実際にどのように行動すべきかは、制度の全体像や制度発展の将来展望を踏まえる必要がある。本講演ではまず、GXの意義を明らかにするとともに、制度開始を前にその詳細が明らかになったGX-ETSのルールを説明する。また、それらが参加企業に及ぼす影響を解説する。そして最後に、本制度の課題と将来展望について論じる。
1.はじめに〜日本におけるカーボンプライシング導入の経緯、およびGXの意義
2.GXにおけるカーボンプライシングの全体像
(1)岸田首相によるCP具体案の指示
(2)「成長志向型カーボンプライシング」の全体像
3.排出量取引制度(GX-ETS)の具体的な制度設計の解説
(1)排出量取引制度とは何か〜GX-ETSの特徴
(2)GX-ETSにおける制度設計の主要論点
①超過削減枠の創出要件
②直接排出と間接排出
③基準年の設定
④GX-ETSの段階的発展
4.GX-ETSの評価
(1)GX-ETSの特徴とは何か〜EU ETSとの比較
(2)自主参加型ETSの利点と欠点
(3)かつての「排出量取引試行制度」の失敗から得られる教訓
(4)GX-ETSは自主参加型ETSの欠点をどのように克服しようとしているのか、それは十分といえるか?
5.GX-ETSの将来像〜「段階的発展をめぐる論点」をめぐって
6.質疑応答
1998年京都大学大学院経済学研究科博士課程修了、2010年3月より現職。2017年4月より京都大学大学院地球環境学堂教授を併任。環境経済学をベースに、カーボンプライシングや再生可能エネルギー政策、電力市場に関する研究を推進。京都大学大学院経済学研究科「再生可能エネルギー経済学講座」代表も務める。
主著に、『環境税の理論と実際』(有斐閣、2000年)、『脱炭素社会と排出量取引』(日本評論社、共編著、2007年)、『低炭素経済への道』(岩波新書、共著、2010年)、『脱炭素社会とポリシーミックス』(日本評論社、共編著、2010年)、『入門 地域付加価値創造分析』(日本評論社、編著、2019年)、『入門 再生可能エネルギーと電力システム』(日本評論社、編著、2019年)、など。環境省中央環境審議会「カーボンプライシングの活用に関する小委員会」など、国・自治体の政策形成にも多数参画。