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CCS市場の特性と事業機会
11月18日(金) 終了済
株式会社三菱総合研究所 サステナビリティ本部
気候変動ソリューショングループ 主任研究員
野本 哲也(のもと てつや) 氏
世界的なカーボンニュートラルの急進を受けて、将来の地球温暖化対策技術と見なされていたCCSについて、できる限り早期での社会実装が期待され始めた。CCSへの期待の背景には、2020年から運用が開始されたパリ協定を受けて、各国がカーボンニュートラル目標を掲げていく中で、全ての産業・業種における削減対策が厳しく求められるようになってきている点にある。このうちCCSは、これまで削減が困難とされていた産業セクターや、電力供給安定化のために今後も必要とされる負荷追従型の火力発電所において、重要な削減対策として、世界の産業界がにわかに傾注している。加えて、CCSは、全世界のカーボンニュートラル達成に必要不可欠な炭素除去につながるネガティブエミッション技術の基盤技術としても期待されている。
ただし、CCSについては、前述した期待の反面、CO2回収から輸送、貯留に要する総投入エネルギーや設備導入コスト、さらには各プロセスでのCO2漏えいリスクや長期貯留の実現性等の観点からさまざまな意見が存在する。その一方で、実装に向けた技術開発や制度整備が各国で進み、特に排出源に隣接する適地など好条件プロジェクトから段階的に事業化構想が進んでいる。本講演では、立ち上がりつつあるCCS市場の特性や、今後の事業機会について解説する。
1.CCSを巡る背景情報
(1)CCS/CCU/CDRとは
(2)カーボンニュートラル達成に向けたCCSの位置づけと社会実装モデル
(3)CCSの取組状況と今後の見通し
2.CCSを構成する技術:分類と開発課題
(1)CO2回収技術
(2)CO2輸送技術
(3)CO2貯留技術
3.CCSによる環境価値:制度と手法
(1)炭素クレジット:公的制度/自主的制度
(2)製品認証:ブルー水素/アンモニア認証
(3)炭素会計:公的制度/企業開示
4.CCSの事業機会:導入ポテンシャルと政策動向
(1)ベンチマークとなるCCS先進国:欧米豪
(2)黎明期であるASEAN・中東
(3)日本
5.質疑応答
2010年 東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境システム学専攻 修士課程修了
2010年 株式会社三菱総合研究所 入社
入社以来、東南アジアを中心とした新興国をターゲット市場として、省エネ、マイクログリッド、CCUS分野のビジネス展開支援を担当。対象国におけるエネルギー転換、低炭素化・脱炭素化に関する法規制や政策動向調査、地場機関やパートナー候補等からのリアルな声を基にした調査分析/関係構築支援に従事。