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【エンタメ・スポーツを中心とした新しいファンコミュニティによるゲームチェンジ】
〜ファシリテーター思考で創るコミュニティ・ヒューマニティ中心のファンダムビジネス〜
9月 6日(火) 終了済
Field-R法律事務所 弁護士
山崎 卓也(やまざき たくや) 氏
エンターテインメントやスポーツビジネスにおけるNFTに対する過熱した投機的ブームが過ぎ去った今、欧米を中心に、Web3の本当にあり方が盛んに議論されるようになってきています。Web3への取り組みにおいては、そのテクノロジー的特徴はもとより、20世紀的な「お金」「名声」よりも「人生の豊かさ」を大切にする社会へと変化しつつある国際的なトレンドをつかむ必要もあり、その視点が欠けると、Web3の本質を捉えたイノベーションを起こしにくくなるという問題があります。
Web3に対して、20世紀的な「競争」「先行者利益」の延長で取り組むのではなく、「信頼」「スキル」「貢献」の可視化を中心としたコミュニティ作りの発想で取り組むことによって、勤勉実直で利他的な思考を強みとする日本人が国際的に力を発揮できる可能性はますます高まるといえ、さらにこれに「失敗への恐れ」を「対話による理解」で乗り切る発想の転換があれば、日本人はWeb3に必要不可欠と言えるファシリテーター、ルールメーカーとしての役割を果たしていくことができると思われます。
この講義では、エンターテインメント、スポーツビジネスにおけるWeb3ビジネスの可能性を、主にファンダムとファシリテーターという観点から、欧米の事例をいくつか拾いつつ、語っていきたいと思います。
1.2021年のファントークン、NFT、メタバースなどWeb3ビジネス関連事例の検証
・デジタルグッズ、投機対象としてのNFTとその限界
・そこにある本質的価値は何か
〜非財産的な価値、そこにしかない価値への着目
・1人として同じ人はいない
〜唯一無二の価値を証明するものとしてのWeb3の未来
2.「マス」「消費」から「一人一人」の「体験」「貢献」へのシフトの中で
・巨大メディアが創るビジネスモデルの限界
・欧州を中心に巻き起こるミュージシャンの巨大DSPへの不満
・なぜオリンピックは評価を落としているのか
・なぜサッカーの欧州スーパーリーグは失敗に終わったのか
・音楽やスポーツは本質的にソーシャルなものである
〜独占、囲い込みモデルの限界
・ライセンスの考え方も「シェア」「コミュニティ」の発想が重要
3.「参加したくなる」世界としてのWeb3
・“Don't make people pay for music, let them.”
・ファンがファンらしくいられるコミュニティを創る
・ファンがもっと貢献したくなる関係を創る
・ファンダム、貢献度が「唯一無二のものとして」証明され、リスペクトされる
・ファンのクリエイティビティを応援する(「改変」を前提とした作品等)
・「お客様」から「仲間」にしていく心理的ハードル
4.Web3ビジネスにどう取り組んで行くか〜原則、戦略、思考法
・利他的精神にあふれたファシリテーターの重要性
(ファンとファン、ファンとセレブリティをつなぐ〜「管理」より「エンパワーメント」)
・ファシリテーターに求められる国際感覚とは
〜リスペクト&決断のバランスの多様性
・ヒューマニティとオーセンティシティ
〜1人として同じ人はいないところから出発
・KPIを従来とは違うところに置く
(非財産的な価値を含めたKPI)
・ファン一人一人の属性をもとにした働きかけ
(メールマガジンとの比較)
・DAOと「ファンクラブ」
〜ファンコミュニティのどこまでを「民主化」するか
・何のためにやるのか
〜Web3でなくては実現できない価値とは何か?巨大プラットフォームではできないことを追求(「競争」ではない価値)
・必要とされる原則
〜透明性、公平性、人権と選択の尊重(特にプライバシー、データコントロールにおいて)、そして「独占」にとらわれない「本当の価値」に向けた思考
・必要とされる法的思考
〜権利・利益の分配、スマートコントラクト、仮想通貨等をめぐる規制への向き合い
・必要とされる勇気
〜実験と失敗を繰り返す勇気、問題を「対話」で解決する勇気
・Web2的世界との向き合い方
5.質疑応答
1997年の弁護士登録後、2001年にField-R法律事務所を設立し、スポーツ、エンターテインメント業界に関する国内外の法務を主な取扱分野として活動。2019年から本拠をロンドンに移し、スポーツ、音楽業界における各種国際機関の委員、国際会議・研究機関での講演、国際交渉などを通じての、グローバルなルールメイク、ディールメイクに従事。