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【脳とITの融合が生み出す新たなビジネスチャンス】
10月28日(木) 終了済
株式会社KDDI総合研究所 リサーチフェロー
小林 雅一(こばやし まさかず) 氏
キーボードやマウスの代わりに、脳から念じるだけでスマホやパソコンに文字を入力する。あるいは脳にロボット・アームのようなマシン(機械)を接続して自在に操作したり、外部から脳の状態を測定する特殊な装置で「人の心」を読み取る。こうした技術は「ブレイン・マシン・インタフェース(BMI)」あるいは「ブレインテック(脳の技術)」等と呼ばれ、著名起業家のイーロン・マスク氏や巨大IT企業のフェイスブック等が近年、この分野に参入して俄かに脚光を浴びている。
ブレインテックがカバーする事業領域は、医療やヘルスケア、ゲーム、AR/VR、UI、マーケティング、行動分析など多岐に渡る。潜在的な市場規模は未知数だが、最近、中東の投資会社やグーグル系列のベンチャーキャピタルなどがBMIスタートアップ企業に巨額投資を決めるなど、未来の巨大市場創出を予感させる。
他方、フェイスブックなどIT企業が私達の頭の中にまで進出し、その脳内データにアクセスすることは究極のプライバシー侵害として早くも警戒の声が上がっている。南米チリではBMIの規制法案が審議され、世界各国の有識者も早期の規制・ガイドラインの成立を呼びかけるなど、事態は想像を超えるスピードで展開している。
巨大なビジネス・ポテンシャルの秘めたブレインテックの全貌を明らかにし、そのプラスとマイナスの両面を考察する。(脚注)
1.BMI(ブレイン・マシン・インタフェース)とは何か
〜脳に半導体チップを埋め込む侵襲型、ウエアラブル端末で外部から脳を測定する非侵襲型・・・
2.ニューラリンクの動向
(1)脳にセンサーや半導体チップを埋め込む侵襲型BMIの代表
(2)身体麻痺の患者らに向けたリハビリ事業から展開
(3)果てしない進化を続けるAI(人工知能)に人類はBMIで立ち向かう
3. フェイスブックの動向
(1)手術を必要としない非侵襲型BMIの代表
(2)「脳からの文字入力」計画の顛末
4.その他の有望スタートアップ企業の動向
(1)切らない手術でBMIを実現する企業
(2)脳波で操作するゲーム
(3)睡眠改善
(4)集中力を計測して業務の生産性を高める
5.BMIの軍事利用
DARPAの研究開発を中心にBMIの軍事応用を紹介
6.脳内データと究極のプライバシー
〜BMIへの各種懸念と、その規制に向けた動き等を紹介
7.質疑応答/名刺交換
※<脚注>:講演当日の内容は、取材結果と最新動向により異なる可能性があります
東京大学・理学部物理学科卒、同大学院理学研究科修士課程修了。東芝、日経BPなどを経て現職(専門:ICTやバイオなど先端技術の動向調査)、情報セキュリティ大学院大学・客員准教授。著書に「ブレインテックの衝撃--脳×テクノロジーの最前線」(祥伝社新書、2021年9月) 「スパコン富岳後の日本 科学技術立国は復活できるか」(中公新書ラクレ、2021年) 「AIの衝撃 人工知能は人類の敵か」(講談社現代新書、2015年) 「ゲノム編集とは何か DNAのメス『クリスパー』の衝撃」(講談社現代新書、2016年)など多数。