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陸上養殖ビジネスの事業環境と動向、
8月25日(水) 終了済
野村アグリプランニング&アドバイザリー株式会社
調査部長 主席研究員
佐藤 光泰(さとう みつやす) 氏
2010年代は企業の農業参入が活発化した。企業の農業参入数は2018年末時点で3,300社となり、この10年で20倍を超えた。背景には、農地法改正による規制緩和や企業の事業再構築に伴う余剰施設や人員再配置、そして新規事業の模索などがある。
企業の農業参入は引き続き増加していくものと見込まれているが、2020年代は企業の「水産業」参入の幕が開けるものと予想している。主な背景には、①70年ぶりに改正された漁業法が昨年12月から施行になったこと、②デジタル技術の進展が新たな水産業ビジネスを後押しすること、③グローバルで見た水産物需給が急速に逼迫し始めていること、の3点がある。
企業の水産業ビジネスの筆頭として挙げられるのが「陸上養殖」である。ここでいう陸上養殖は、人工海水を循環させて飼育水を排出しない閉鎖循環式の陸上養殖システムを指す。陸上養殖は「海」を利用しないため、場所を選ばず、地球環境にも負荷がかからない“21世紀型の水産業”として注目を集めている。
陸上養殖が世界中で注目を集めはじめたのは2010年代後半である。2015年に国連の「SDGs(持続可能な開発目標)」が制定された他、2018年11月にはデンマークが地球環境に負荷の大きい海面養殖の新規ライセンスの発行を停止にすることを発表したのを皮切りに、各国も海面を利用した水産養殖に規制をかけ始めた。世界人口の増加が確実視されている中、新興国を中心とした水産物の「需要」は依然として旺盛でありながら、水産物の「供給」は不安定さを増しているのが現状である。各国ともに、水産物需給のひっ迫の解消手段として、ひいては、「持続可能な水産業」を実現するための技術として「陸上養殖」に大きな期待をかけている。新規事業を検討している企業からみると、陸上養殖は「5年前の植物工場」に近いステージにあるものと考えられ、昨今の植物工場ビジネスの盛り上がりを踏まえると、陸上養殖ビジネスにおける今後の参入企業の増加が見込まれる。
本セミナーでは、陸上養殖を取り巻く市場環境や事業動向・展望を2005年からの陸上養殖の勃興期(第一世代)における事例や足元(第二世代)の先進事例を踏まえながら俯瞰する。また、新たに陸上養殖ビジネスに参入する際のポイントや有望シーズ、基本構想・戦略設計の方法などを解説する。
1.陸上養殖ビジネスの概要と市場環境
2.陸上養殖ビジネスの事業動向と展望
3.陸上養殖ビジネスの先進事例
4.陸上養殖ビジネスの新規参入・事業化のポイント
5.質疑応答/名刺交換
2002年に早稲田大学・法学部卒業後、野村證券へ入社。2005年に野村リサーチ&アドバイザリー株式会社へ出向し、農水産業・食品・小売セクターの産業調査・企業アナリストの業務に従事。2010年に野村アグリプランニング&アドバイザリー株式会社へ出向し、農水産業・食品セクターの調査・コンサルティング業務に従事(現在に至る)。
著書「2030年のフード&アグリテック〜農と食の未来を変える世界の先進ビジネス70」など