SSK 株式会社 新社会システム総合研究所

培養細胞が拓く創薬の今

- 研究、規制、自動化、そして教育へ -

商品No.
R06B0136
出版月
2025年 3月
価格

印刷+CD-R(PDF)タイプ 132,000円 (税込)
印刷タイプ 110,000円 (税込)

ページ数
A4判 373ページ
発行<調査・編集>(株)シーエムシー・リサーチ
備 考
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レポート内容
■ポイント■
 ・従来の動物実験に代わる、効率的で制度の高い手法として注目される培養細胞を用いた創薬研究の最新動向を解説!
 ・飛躍するMPS/オルガノイド研究、細胞間コミュニケーションの可能性を切り開くエクソソーム研究、iPS細胞技術がもたらした創薬研究の革新など、最先端動向を詳細に解説!
 ・新たな局面を迎える実験自動化技術に着目!
 ・技術の進展に伴い浮上する、人材育成の課題に問題提起!
 ・第一線でご活躍の研究者により最新の知見と展望を紹介!

■概要■
 近年のバイオテクノロジー分野における進展は目覚ましく、創薬研究においても、従来の動物実験に代わる、より効率的で精度の高い手法として、培養細胞を用いた研究が注目されています。
 2018年5月に出版された『創薬のための細胞利用技術の最新動向と市場』は、多くの研究者の皆様に最新の情報をお届けすることができ、大変好評をいただきました。それから6年、細胞培養技術とその周辺技術はさらに飛躍的な発展を遂げ、創薬研究の現場は新たな局面を迎えています。
 本書では、培養細胞を用いた創薬研究の最前線を、以下のテーマに焦点を当てました。
 ヒト組織を模倣するMPS/オルガノイド研究の進展:体性幹細胞、多能性幹細胞を用いたオルガノイドを含むMPSの進歩は、腸管、肝臓、脳、眼球、肺、腎臓といった様々な生体組織をin vitroで再現することを可能にしました。創薬研究における、よりヒトに近い環境での評価を可能にする技術として、その将来性は計り知れません。
細胞間のメッセンジャー、エクソソーム研究の進化:細胞間コミュニケーションの重要な役割を担うエクソソームは、創薬における新たなターゲットとして、また、ドラッグデリバリーシステムへの応用も期待されています。本書では、エクソソームの多様性、不均一性、
そして治療への応用における課題と展望について解説します。
個別化医療を推進するiPS細胞技術:ヒトiPS細胞から誘導された神経細胞は、創薬スクリーニングや非臨床試験に新たな道を切り拓きました。さらに、疾患特異的iPS細胞を用いることで、患者一人ひとりの病態に合わせた創薬、個別化医療の実現に向けた研究が進んでいます。
創薬研究の効率化を実現する自動化技術:細胞培養工程の自動化は、創薬研究の効率化、標準化、そしてコスト削減に大きく貢献します。
本書では、最新の自動化技術の動向と、今後の創薬研究における役割について考察します。
次世代を担う人材育成の重要性:これらの技術革新を支え、さらに発展させていくためには、高度な知識と技術を持った人材の育成が不可欠です。本書では、細胞培養技術、GMP教育の現状と課題、そして産学官連携による取り組みについて解説するとともに、VRやシミュレーションゲームといったデジタル技術を活用した教育の可能性についても言及します。
 本書が、培養細胞を用いた創薬研究に携わるすべての研究者、そしてこの分野に興味を持つ学生の皆様にとって、最新の知見を得るとともに、今後の研究開発、そして人材育成の指針となることを切に願っております。

■監修■
古江 美保
(株)セルミミック 代表取締役
-CONTENTS-
【第1編 神経細胞】
総括:神経細胞を用いた創薬研究の今

<1>ヒトiPS細胞由来神経細胞を用いた非臨床試験法の開発への期待と課題
1.はじめに
2.安全性薬理試験における新しいインビトロ試験法開発
3.ヒトiPS細胞由来“神経細胞”の創薬ニーズと課題
4.ヒトiPS細胞由来“神経細胞”の次なる展開

<2>スクリーニングのための
   ヒトiPS細胞由来神経細胞のシナプス成熟度評価法
1.はじめに
2.シナプス成熟のための培養法、分化誘導法の種類と特徴
3.ヒトiPS細胞由来神経細胞のシナプス成熟度評価法
4.おわりに

<3>iPS細胞由来神経細胞を用いたテーラーメイド創薬
1.はじめに
2.テーラーメイド創薬におけるiPS細胞の役割
3.テーラーメイド創薬における患者層別化の重要性
4.iPS細胞由来神経系細胞を用いたテーラーメイド創薬とバイオマーカーおよびサロゲートマーカーの開発
5.テーラーメイドiPS細胞創薬の展望と課題
6.おわりに

<4>疾患特異的iPS細胞から作製した神経系細胞を用いた病態・創薬研究
1.はじめに
2.iPS細胞の脳神経疾患の創薬研究への応用
3.脳神経疾患特異的iPS細胞を用いた創薬研究
4.iPS細胞を用いた脳神経疾患研究における課題と今後の展望
5.おわりに

【第2編 エクソソーム】
総括:エクソソーム
<1>エクソソーム製剤(EV製剤)の品質・安全性評価に関するレギュラトリーサイエンス研究
1.概要
2.エクソソームとは
3.EV製剤の開発動向
4.EV製剤の品質安全性確保の課題
5.EV製剤の開発推進と品質安全性確保に向けた
  レギュラトリーサイエンス研究

<2>バイオマーカーとしての細胞外小胞の活用
1.細胞外小胞とは
2.細胞外小胞の構成因子
3.疾患と細胞外小胞
4.疾患バイオマーカーとしての細胞外小胞
5.細胞外小胞による細胞の品質管理は可能か?
6.おわりに

<3>エクソソームの粒子径と電荷の分布測定
1.はじめに
2.エクソソームの評価手法
3.粒子径分布の評価
4.ゼータ電位分布の評価
5.マイクロ流路を用いた粒子径・ゼータ電位同時計測システム

【第3編 オルガノイド】
総括:オルガノイド研究と利用
<1>代謝制御による内胚葉分化とオルガノイド研究への応用
1.はじめに
2.PSCsの代謝特性
3.代謝特性を利用した内胚葉細胞分化誘導
4.メチオニン代謝および亜鉛動態を利用した膵臓分化誘導
5.おわりに

<2>ヒト腸管オルガノイドを用いた医薬開発プラットフォーム
1.腸管薬物動態評価系の現状と課題
2.オルガノイド培養を組み合わせたヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞の開発
3.おわりに

<3>ヒト呼吸器オルガノイドを用いた感染症創薬
1.はじめに
2.呼吸器オルガノイドを用いた新型コロナウイルス感染症研究
3.呼吸器オルガノイドを用いたインフルエンザ研究
4.呼吸器オルガノイドを用いたRSウイルス感染症研究
5.おわりに

<4>疾患特異的iPS細胞由来オルガノイドを用いた研究
1.疾患特異的iPS細胞
2.創薬研究に利活用される疾患特異的iPS細胞のバンキング
3.疾患iPS細胞が利用される創薬開発プロセス
4.疾患iPS細胞を用いた創薬開発の特色
5.疾患iPS細胞が利活用される領域
6.疾患特異的iPS細胞由来オルガノイド
7.疾患特異的iPS細胞由来オルガノイドを用いた研究例
8.今後の課題と展望

<5>iPS細胞由来ヒト呼吸器オルガノイドを用いた創薬
1.呼吸器疾患創薬の問題点
2.呼吸器オルガノイド研究の発展
3.iPS細胞由来呼吸器オルガノイドの疾患研究と創薬への応用
4.iPS細胞由来呼吸器オルガノイド創薬応用の新たな展開

【第4編 MPS】
総括:創薬におけるMPS・MEAの現状と展望

<1>MPS研究開発とレギュラトリーサイエンス
1.はじめに
2.MPSに関する欧米の規制当局の動向
3.MPSに関する国内動向
4.まとめ

<2>産業界におけるMPS利用の現状と課題
1.産業界を取り巻く環境
2.国内産業界の現状
3.国内産業系のコンソーシアム活動
4.産業界からMPSへの期待
5.MPS利用における課題
6.今後の展望

<3>製薬企業における毒性評価での利用
1.製薬企業における毒性評価とは
2.MPSを医薬品の毒性評価で用いた事例
3.In vitro試験系におけるCoU拡大とQualificationの課題

<4>製薬企業における薬物動態評価でのMPS活用
1.はじめに
2.消化管吸収評価におけるMPSアプリケーション
3.肝臓クリアランス評価におけるMPSアプリケーション
4.CNS・脳移行性評価におけるMPSアプリケーション
5.腎排泄におけるMPSアプリケーション
6.今後の展望

<5>薬効薬理モデルとしてのMPS
1.はじめに
2.MPSの使用方法とMPSの撮影
3.撮影対象となるプロセスとMPS分類
4.撮影方法と撮像プラットフォーム
5.MPSデバイスの撮像例
6.まとめ

【第5編 MEA】
<1>in vitro神経ネットワークにおけるMEA研究
1.はじめに
2.in vivoへの外挿性を有する医薬品の痙攣毒性予測
3.UHD-CMOS-MEA
4.おわりに

<2>製薬企業におけるMEA技術の安全性評価への利活用
1.はじめに
2.安全性に関わるMEA技術の製薬企業間のコラボレーション
3.おわりに

【第6編 自動化】
総括:自動化

<1>ラボラトリーオートメーションの基礎
1.はじめに
2.ラボラトリーオートメーションとは
3.ラボラトリーオートメーションとファクトリーオートメーション
4.機械化・自動化・自律化
5.典型的な活用用途
6.代表的な研究開発事例
7.実験の自動化から研究室の自動化へ
8.研究室の自動化のためのソフトウェア開発
9.コミュニティ
10.人間とロボットの新しい関係へ
11.おわりに

<2>細胞創薬自動化プラットフォーム「Mahol-A-Ba(まほろば)」
1.背景
2.Mahol-A-Baの紹介
3.Mahol-A-Baの遠隔操作
4.Mahol-A-Ba間のプログラムを介した技術移管
5.おわりに

<3>新薬創出を推進するラボオートメーションの取り組み
1.はじめに
2.サンプル保管・管理自動化
3.低分子化合物スクリーニングの自動化
4.実験データ解析の自動化
5.ARP作成の集約実施
6.実験装置拡張カスタムパーツ内製
7.今後の展望

<4>創薬研究における実験と細胞培養の自動化
1.はじめに
2.実験自動化の検討
3.自動化システムの開発
4.細胞培養の自動化
5.おわりに

<5>創薬研究における自動培養装置の現状と展望
1.はじめに
2.当社(マイクロニクス株式会社)の紹介と自動培養装置の導入実績
3.自動培養装置の技術概要
4.製薬会社への導入実績と主な特徴
5.当社が直面した課題とその解決策
6.自動培養装置の今後の展望

<6>汎用ヒト型ロボットLabDroid「まほろ」
1.はじめに
2.システム構成
3.設計思想
4.「まほろ」の価値とは
5.おわりに

<7>テカンにおける自動分注機を用いた創薬ソリューション
1.テカンジャパン株式会社の紹介
2.創薬・医薬品開発におけるラボラトリーオートメーションの有用性
3.テカンFluent(R)における創薬ソリューション
4.おわりに

【第7編 人材育成】
総括:バイオ産業における人材育成

<1>バイオ産業における人材育成の課題─細胞培養の標準化と培養実習─
1.背景
2.細胞培養学
3.細胞培養の日本と欧米の教育の違い
4.細胞培養の標準化
5.理論の学習
6.理論と実践のギャップを埋める提案
7.細胞培養実習
8.学習用バーチャルラボ・学習ゲーム
9.まとめ

<2>バイオ医薬領域における人材の能力可視化と人材育成
1.はじめに
2.技能・知識
3.行動特性
4.まとめ

<3>創薬研究におけるバイオ人材育成.CMC開発人材とGMP製造人材
1.はじめに
2.バイオロジクス全体の歴史とプロセス4工程について
3.CMC人材とGMP人材
4.人材育成は単一業界の課題ではない
5.細胞医療・遺伝子治療の人材育成
6.VRの活用による人材育成とバイオDX人材の育成7まとめ

<4>GMP教育の課題と現状
1.背景
2.「医薬品等品質・GMP講座」がめざすもの
3.GMP人材の不足の課題を解決するためには
4.まとめ

<5>バイオ実習シミュレータの開発
1.はじめに
2.開発の目的
3.開発方針
4.開発したアプリケーションの説明
5.授業結果
6.展望
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