SSK 株式会社 新社会システム総合研究所

サステナブルなプラスチックの技術と展望

商品No.
R06B0130
出版月
2024年 7月
価格

印刷+CD-R(PDF)タイプ 121,000円 (税込)
印刷タイプ 99,000円 (税込)

ページ数
A4判 323ページ
発行<調査・編集>(株)シーエムシー・リサーチ
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レポート内容
■ポイント■
 ・世界的に大きな転換期を迎えたプラスチックの利用とリサイクル、再生プラの利用について、政策、技術、LCAの観点からまとめた!
 ・欧州・米国、中国のプラスチック対策と、OECD等による予測と提言を紹介!
 ・技術編1では、注目される各種リサイクル技術を紹介!
 ・技術編2では、バイオマスや都市ごみ、CO2利用によるプラスチック製造を解説!
 ・LCA編では、欧州委員会の政策を科学技術面のデータでサポートするJoint Research Sentre(JRC)によるLCAに関するレポート
  「Environmental and economic assessment of plastic waste recycling」の概要を紹介!

■概要■
 1950年代にプラスチックの材料革命が興った。木製であった風呂場の桶や洗面器、ブリキのバケツは、あっという間にプラスチックに代わり、包装に使われていた新聞紙は、ビニール袋や包装フィルムに替わった。瓶類が使い捨てのプラスチックボトルに変わった時には、使い捨て容器の使用は、米国の文化で日本の文化ではないと疑問に持ったことを覚えている。それがいつの間にか、使い捨てが、当たり前になってしまった。世界的には、廃棄されたプラスチック製品が海洋汚染を引き起こし、廃プラスチックが分解したマイクロプラスチックは、魚類や生物にまで、蓄積し始め、人類の生存を脅かすかもしれない事態を引き起こしている。環境先進国であった日本は、廃プラスチックは、回収して焼却することによって環境汚染を防いできた。しかし、焼却処分すれば、海洋汚染は防ぐことはできるが、排出されるCO2はエネルギー産業や自動車から排出される量と比べると少ないが、廃プラスチックの持っている炭素資源は、焼却処分されればなくなってしまう。「もったいない」のである。炭素資源は有効に用いられなければならない。そのためには、プラスチックは再利用されなければならない。更に、盲目的にプラスチックリサイクルを推進するのではなく、実際的にLCAの観点から使用されたプラスチックによりどのようなリサイクル法がベストであるかを解析し、対策する必要がある。欧米では、環境保全への意識が高く、官民一体で、プラスチック汚染対策を打ち出している。そして、プラスチックを製造している石油化学各社は、生産者の責任の元に、廃プラスチックのリサイクルを促進し始めた。日本の石油化学のメーカーは、従来、プラスチックを生産し、販売することにのみ注力し、廃プラスチックの回収や処理には、ほとんど関心を持たなかった。生産者責任が欠如していたと思われても仕方がない。欧州では、廃プラスチックの回収率だけでなく、再生プラスチックを、ある一定の割合で使用することが義務付けられる法案が提出された。さらに、国連環境総会は、2024年までに国際的な法的拘束力のある国際プラスチック条約を作成する作業に取り掛かっている。これには、有害プラスチックの製造禁止を含むプラスチックのライフサイクル全体の改善策やリユースとリサイクルの可能な製品と材料の設計も含まれている。世界的に、プラスチックの利用とプラスチックのリサイクルは、大きな転換期を迎えている。日本は、国民全体の意識とリサイクルに関して欧米に遅れていると言わざるを得ない。資源の乏しい日本こそ、世界に率先してプラスチックの再利用に取り組まなければならない。プラスチックの再利用に関して、この本が、何らかの指針を示すことができれば幸いである。

■監修■
室井 髙城
アイシーラボ
-CONTENTS-
【第Ⅰ編 政策編:プラスチックリサイクルの現状と欧州政策との比較】
<1>プラスチックの使用・廃棄・リサイクルの現状と予測
1.プラスチックに関する諸問題:OECDによるベースラインシナリオを中心に
 ・世界のプラスチック生産量の現状とベースラインシナリオ
 ・世界のプラスチック排出量の現状とベースラインシナリオ
 ・世界におけるプラスチックの環境への漏出の現状と予測(ベースラインシナリオ)
 ・世界におけるプラスチックのマテリアルフロー(ベースラインシナリオ)
2.OECDによる政策提言の概要
 ・プラスチックライフサイクル全般をターゲットとしたOECDの政策パッケージ
 ・「野心」レベルの異なる2つの政策パッケージ
 ・地域アクションとグローバル・アンビション・シナリオの効果予測
 ・2つの政策パッケージに必要なコスト
3.まとめ
参考文献

<2>欧州・米国における2030年プラスチック対策と日本の対応
1.まとめ
2.(容器包装)プラスチック問題
3.EUプラスチック戦略(およびグリーンデール)とその『世界標準』化
 ・「循環経済におけるEUプラスチック戦略」(2018年1月発表)
 ・EUのプラスチック規制
 ・欧米の化学業界団体が容器包装プラの再生材含有量30%規制を提案
 ・マスバランス方式と国際認証
 ・EUの容器包装・容器包装廃棄物に関する新規制案(2022年11月30日)
 ・国連を通じた欧州循環経済政策の『世界標準』化
4.欧米における廃プラの処理状況とリサイクルの現状
 ・日欧米の廃プラの処理状況と廃プラの輸出
 ・欧州のリサイクル関連の状況
5.マテリアルリサイクル(メカニカルリサイクル:MR)
 ・MR、CR、溶媒ベース精製法の比較
 ・PETのMR
 ・欧州が強いPO(PE、PP)のMR
6.ケミカルリサイクル(CR)の状況
 ・CRの特徴や注目される理由
 ・急拡大する混合廃プラのCRプラント
 ・PETの解重合法CR
7.2030年の日本のプラスチックリサイクルの姿
 ・2030年に『世界標準』が日本に適用される時
 ・試算における容器包装廃プラのリサイクル率の設定
 ・2030年に容器包装プラの再生材含有量を30%とするための必要条件
 ・廃プラの処理方法別比率について:2021年の実績と2030年の推定
8.おわりに
参考文献

<3>製造大国・中国の「プラスチックリサイクル」事情
1.中国リサイクル市場の概要
 ・廃プラ回収規模の推移
 ・廃プラ輸入状況の変遷
 ・材料種別の回収状況
 ・今後の市場展望
2.リサイクル企業の現状と今後
 ・廃プラの主要集散地
 ・廃プラの既存回収手
 ・政策規制によるリサイクルメーカーの統合
 ・良質で標準化された市場へ
3.明確な基準の制定による質の向上と淘汰
 ・「廃プラスチック産業総合利用基準条件」 とは
 ・基準条件の要求事項
 ・基準条件の認定企業
 ・非認定企業の再編・統合・淘汰による、市場の質の向上
参考文献

【第Ⅱ編 技術編 1:プラスチックリサイクル関連技術】
<1>プラスチックの化学的手法によるマテリアルリサイクル
1.マテリアルリサイクル
2.再生プラスチックの微量有臭成分除去
 ・EREMA社のRefresher
 ・ビューティクル社
3.溶剤を用いた再生
 ・PureCycle社
 ・多層フィルムの溶媒による分離
4.廃プラの脱インキ
 ・スペインのアリカンテ大学
 ・DIC
 ・着色ポリスチレンのリサイクル
 ・軟包装材水平リサイクル
5.添加剤による廃プラのアップグレード
 ・添加剤
 ・デンカ
 ・BASF
参考文献

<2>廃プラスチックの液化によるナフサ製造熱分解、超臨界、接触分解、など
1.廃プラスチックからナフサ
2.プラスチックの熱分解
3.廃プラ液化油とナフサ成分比較
4.廃プラスチック液化油の生産予測
5.廃プラスチックの液化プロセス
 ・廃プラスチックの熱分解プロセス
 ・廃プラの接触熱分解
 ・廃プラの水素化分解
参考文献

<3>廃プラスチックのケミカルリサイクル
1.廃プラスチックのケミカルリサイクルとは
2.ナフサ利用によるケミカルリサイクル
 ・廃プラ熱分解油
 ・ナフサからのエチレン、プロピレン収率
3.マスバランス方式
4.BASF
5.海外のケミカルリサイクル
 ・SABIC
 ・Neste Oil/LyondellBasell
 ・LyondellBasell
 ・Dow
 ・Royal Dutch Shell
 ・ExxonMobil
 ・LG化学
6.廃プラスチック原料ケミカルリサイクルプロジェクト
7.国内のケミカルリサイクル
 ・三井化学のケミカルリサイクル
 ・三菱ケミカルグループ
 ・出光興産のケミカルリサイクル
参考文献

<4>廃プラスチックの熱分解分析技術と装置例
1.概論
2.熱分解ガスクロマトグラフ/質量分析システムとその分析法の概要
3.マテリアルリサイクルにおける応用分析例
 ・廃プラスチックの組成分析
 ・リサイクルプラスチック製品中の添加剤の分析
4.ケミカルリサイクルにおける応用分析例
 ・単一廃プラの熱分解による触媒反応
 ・複合廃プラの熱分解による触媒反応および共熱分解反応
5.今後の展望
参考文献

<5>プラスチックのマイクロ波加熱
1.マイクロ波加熱技術の開発状況と魅力
2.マイクロ波によるプラスチック直接加熱
3.マイクロ波加熱の基礎と伝熱理論
4.マイクロ波加熱と誘電率・透磁率
5.マイクロ波加熱と加熱容器
6.電磁波エネルギーの可視化と数値計算
参考文献

【第Ⅲ編 技術編 2:バイオマスや都市ごみ、二酸化炭素の利用によるプラスチック製造】
<1>バイオマス原料プラスチック
1.バイオマスナフサからのバイオマスプラスチック製造とマスバランス方式
(1)はじめに
(2)バイオマスナフサの製造方法
(3)ライフサイクル評価(LCA)
(4)バイオマスナフサの供給量
(5)マスバランス方式
(6)マスバランス方式に関する国内外動向
(7)バイオマスバランス製品の普及動向
(8)おわりに
参考文献
2.バイオマスからの芳香族製造
(1)バイオマスからの芳香族製造
参考文献

<2>都市ごみを原料としたプラスチック
1.都市ごみ
2.都市ごみのガス化
 ・ごみ焼却
 ・ガス化炉
3.都市ごみ合成ガスからメタノールの合成
 ・メタノールから軽質オレフィン
 ・ロッテルダムメタノールプロジェクト
 ・JFEエンジニアリング、三菱ガス化学
4.都市ごみ合成ガスからエタノールの合成
 ・エタノールからエチレン
 ・Enerkem社
 ・Enerkem-Nova Chemicals
 ・積水化学
参考文献

<3>二酸化炭素(CO2)を原料としたプラスチック
1.CO2原料
2.メタンとCO2からポリマーの合成
3.ポリカーボネート
 ・アルキレンカーボネート
 ・コベストロ社
 ・Econic Technologies社
 ・ヘキサンジオールとCO2からポリカーボネート
 ・ジフェニルカーボネート
 ・ヒドロキシポリウレタン
4.ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)
5.ヒドロキシブチレート(PHB)
参考文献

【第Ⅳ編 LCA編】
<1>Environmental and economic assessment of plastic waste recyclingの概要
1.はじめに
2.調査方法
3.結果
参考文献

<2>国内情報が得られるLCAの項目についての比較
1.廃棄物のリサイクル処理前輸送
2.リサイクル(メカニカル、フィジカルまたはケミカル)
 ・メカニカルリサイクル
 ・ケミカルリサイクル
 ・エネルギー回収(焼却)
参考文献

【第Ⅴ編 今後の展望】
<1>今後の展望
1.プラスチックのリサイクル
 ・プラスチックの国際条約
2.今後のプラスチック原料
 ・バイオマス原料
 ・廃プラスチックのリサイクル
 ・CO2と再エネ水素からのプラスチック
3.2050年のプラスチック
 ・Nova Instituteの予測
 ・2030年以降のプラスチック再生ビジネス
4.まとめ
参考文献

【第Ⅵ編 付録:参考資料】
1.ポリエチレンテレフタレート(PET)
2.ポリ塩化ビニル(PVC)
3.ポリスチレン(PS)
4.ポリオレフィン(ポリエチレン・ポリプロピレン)
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