SSK 株式会社 新社会システム総合研究所

■概要■
基礎研究から普及が期待される実用化技術まで、自動車・モビリティー分野を100年に1度の変革に導く生体センシング技術の最前線が分かる

生体センシングは、2030年に向けて自動車・モビリティー分野の変革を支える中心技術です。開発競争が加速する自動運転やMaaSはもちろん、物流や配送のビジネスでも、生体センシングの最新動向を知らずして未来を語れなくなりました。例えば、車外のヒト・モノの存在をセンシングし、危険を回避する技術は自動運転に必須の技術。運転者の健康状態をリアルタイムにモニタリングし、眠気・疲労・体調やストレス・感情、アルコール摂取などを検知するDMS（運転者監視システム）は、交通事故数の低減はもちろん、長距離運転業務に携わる従業員の管理など、2024年問題でクローズアップされる様々な社会問題の解決に寄与します。本レポートは、モビリティー分野におけるセンシング技術を提供形態別に車載センサー、カメラ、シート/ハンドル、小型端末、ウエアラブルの5つの領域に分類。各領域で2030年に向けた新ビジネスを担う可能性があるスタートアップ企業67社、大手・中小企業や大学33社、合計100社を選定し、各社が開発するテクノロジーの概要、注目ポイント、技術開発の進展度、主な論文情報などをまとめています。

■ポイント■
モビリティー分野の生体センシング、4つの用途を基に分析生体情報の継続的な測定を可能とする生体センシングは、検知やモニタリングといった用途と相性がよく、その応用事例が多い。
モビリティー分野で自動運転やDMSを実現するために必須となる生体センシングの主な用途、「眠気・疲労・体調不良の検知」「車内外の状況把握」「アルコール検知」「感情認識」を基に各企業の技術や動向を分析します。

1．眠気・疲労・体調不良の検知
モビリティー分野において最も実用化が進んでいる用途が、DMS（運転者監視システム）に用いる「眠気・疲労・体調不良の検知」である。運転者の健康状態をリアルタイムにモニタリングする技術は交通安全の要である。呼吸音や心音を非侵襲的にモニタリングし、心機能障害や疲労状態を早期に検知する技術が多い。また、目線追跡や顔の向き、姿勢の把握、心拍測定、脳波検知などを通じて、運転者の集中度や注意散漫のレベルを可視化する。これにより、事故のリスクを減少し、安全な運転環境を提供する。

2．車内外の状況把握
「車内外の状況把握」の用途は、車内外の状況を精密に把握する技術が求められるADAS（先進運転支援システム）技術や自動運転技術の発展と密接な関係がある。代表的なセンサーは、LiDARである。コンパクトで高性能かつ低コストの特性を持つため、2030年に向けて自動車の安全性と効率をさらに向上させる期待が高い。自動運転車両の実用化を加速させ、より安全な交通環境の実現に貢献するだろう。

3．アルコール検知
アルコール検知の用途では、呼気からアルコールを検知するセンサーや、汗でアルコールを検知するリストバンド型デバイスなどが開発され、運転者の状態をリアルタイムで監視する。アルコールや薬物の摂取を検出する車両搭載ソフトウエアもある。独自技術で運転手の目の周辺画像を解析し飲酒や薬物の摂取の兆候を迅速に検出する。これらの技術は、飲酒運転防止に重要な役割を果たし、交通事故の抑制に大きく貢献すると考えられる。

4．感情認識
生体センシング技術の進化によって、感情認識の用途でも革新的なシステムが生まれている。AI（人工知能）を活用した画像処理や音声分析、非接触型センサーなどを用いてストレスや感情状態をリアルタイムに検知する。メンタルヘルスの管理や、運転者の精神的負荷の軽減に寄与できる。

モビリティー分野の生体センシング　2つの方向性
モビリティー分野の生体センシングについて「センシング技術の高度化」「自動運転の普及への対応」の2つの方向性をベースに分析する。

センシング技術の手法を分類
センシング技術の手法を「光学」 「電気信号」 「機械量」 「音」 「生化学」 「電気化学」「磁気」 「電磁波」 「その他」の9種類に分類し、それらをベースに企業の取り組みや技術開発の動向を分析します。

センシング技術開発の直近動向
モビリティー分野における生体センシングは、運転者を監視するDMS（運転者監視システム）を中心に技術開発や実用化が進んでいる。主な用途は運転者の「眠気・疲労・体調不良の検知」が多く、次いで運転者や乗員の異常検知や子どもの置き去り防止システムといった車内の状況把握と、衝突回避や安全監視に貢献する車外の状況把握技術の開発が進んでいる。

2030年に向けた市場トレンド
2030年に向けてモビリティー分野では、「安全運転の向上」と「自動運転技術の発展」が重要なテーマとなっている。この分野における生体センシング技術は、特に運転者の状態監視や安全運転のサポートで大きな役割を果たす。具体的には、生体センシングを用いた運転者の疲労状態や健康状態のリアルタイム監視が進むとともに、異常検知時には自動で警告を発するシステムが導入される。また、生体センシングを統合したADAS（先進運転支援システム）の普及により事故のリスクが低減される。

■監修■
リンカーズOI研究所

＜1＞総論
1．対象産業
　・はじめに
　・ヘルスケア分野
　・モビリティー分野
2．センシング対象
　・概要
　・血糖値
　・心電・心拍
　・血圧
　・栄養
　・組織・臓器
　・汗・唾液・尿
　・呼気
　・体温
　・体動
　・脳
　・睡眠
　・ストレス・感情
　・生体音
　・フェムテック
3．センシング技術の手法
　・概要
　・光学
　・電気信号
　・機械量
　・音
　・生化学／電気化学
　・磁気
　・電磁波
　・その他
4．注目スタートアップ企業の選定方法
　・選定基準
5．技術開発の直近動向
　・概論
　・センシング技術の高度化
　・自動運転の普及への対応
6．2030年に向けた技術開発の方向性と市場トレンド
　・2030年の生体センシング
　・資金調達を指標とした市場トレンド

＜2＞車載センサー
1．【車載】 スタートアップ企業：米国
　・Origin Wireless社
　・Voyant Photonics社
　・PreAct Technologies社
　・Ubicept社
　・Pulsar Informatics社
2．【車載】 スタートアップ企業：イスラエル
　・Vayyar Imaging社
　・Opsys Tech社
　・Neteera Technologies社
　・CU-BX Automotive Technologies社
　・Moodify社
3．【車載】 スタートアップ企業：日本
　・ArchiTek
　・ひびきの電子
　・ハイパーデジタルツイン
　・カレアコーポレーション
4．【車載】 スタートアップ企業：その他の国・地域
　・Novelda社
　・Hangzhou Luowei Technology社
　・Scantinel Photonics社
　・Xandar Kardian社
　・Benewake（Beijing）社
　・Provizio社
　・Sightic Analytics社
　・Algorized社
　・Vokaturi社
5．【車載】 中小企業／大手・中堅企業
　・Eye-Net Mobile社
　・パル技研
　・アイシン
　・Ford Motor社
　・村田製作所
　・トヨタコネクティッド
6．【車載】 大学
　・Columbia University
　・Texas Tech University
　・University of Waterloo
　・Wuhan University

＜3＞カメラ
1．【カメラ】 スタートアップ企業：米国
　・Kodiak Robotics社
　・Phantom AI社
　・GreenRoad Technologies社
　・Eyegage社
2．【カメラ】 スタートアップ企業：日本
　・ティアフォー
　・アジラ
　・ナノルクス
　・TakumiVision
3．【カメラ】 スタートアップ企業：その他の国や地域
　・Binah.ai社
　・Eyeware Tech社
　・emotion3D社
4．【カメラ】 中小企業
　・Cipia Vision社
　・Datik社
　・FMSi社
　・Smart Eye社
　・Traclogis
5．【カメラ】 大手・中堅企業
　・BHTC社
　・IAV社
　・Opel Automobile社
　・三菱電機
　・トリプルアイズ
6．【カメラ】 大学
　・Rice University
　・UdA
　・Universitat St.Gallen

＜4＞シート／ハンドル
1．【シート／ハンドル】 スタートアップ企業
　・Footfalls Smartex社
　・POSH WELLNESS LABORATORY
　・フューチャーインク
　・CurveSYS社
　・CardioID Technologies社
2．【シート／ハンドル】 大手・中堅企業／大学
　・JUKI
　・トヨタ紡織
　・Southwest Petroleum University

＜5＞小型端末
1．【小型端末】 スタートアップ企業
　・Owlstone Medical社
　・Inovise Medical社
　・Kintsugi Mindful Wellness社
　・Occuity社
　・Avicena社
　・KHN Solutions社
2．【小型端末】 中小企業／大手・中堅企業
　・ACS社
　・SOBR Safe社
　・Drager社
　・大日本印刷

＜6＞ウエアラブル
1．【ウエアラブル】 スタートアップ企業：米国
　・Element Science社
　・Linus Health社
　・Feel Therapeutics社
　・Cardiac Insight社
　・Strados Labs社
　・Neurava社
　・Milo Sensors社
　・Arborsense社
　・BlyncSync Technologies社
　・Vail Industries社
　・Aquilx社
　・mPath社
2．【ウエアラブル】 スタートアップ企業：その他の国や地域
　・Grapheal社
　・RDS社
　・Senti Tech社
　・PulseOn社
　・Rooftop Resilience社
　・Marina Race社
　・アフォードセンス
　・Palmens
　・Nuanic社
3．【ウエアラブル】 中小企業／大手・中堅企業
　・Alcohol Monitoring Systems社
　・Safety Biometrics社
　・Audi社
　・Goldtek Technology社