■概要■
・日常の製品やサービスが、高齢者やさまざまな障害を持つ方にも使いやすいようにつくられることを目指すアクセシブルデザイン。
・初版から5年、アクセシブルデザインに応用可能な人間特性の計測データの蓄積から新たなJISやISOが続々と発行されて標準化が進展!
・アクセシブルデザインの基本理念から、人間工学的知見とデータを基にした情報と表示のデザイン技術を分かりやすく解説。
・「感覚特性」は視覚・聴覚・触覚に加えて、味覚・嗅覚・温熱感覚を追加!
・動作や運動に関わる「身体特性」も新設!
・アクセシブルデザインに取り組む方々に必携の1冊!
新編発刊にあたって
<1>高齢者・障害者配慮デザインの経緯と社会的背景
1.多様性のある世界
2.多様性を包含するデザイン概念
・ノーマライゼーション(normalization)
・バリアフリーデザイン(barrier-free design)
・ユニバーサルデザイン(universal design)
・デザイン・フォー・オール(design for all)
・インクルーシブデザイン(inclusive design)
・トランスジェネレーショナルデザイン(transgenerational design)
・アクセシブルデザイン(accessible design)
3.同じゴールを目指して
4.加齢人間工学
・社会の高齢化
・加齢人間工学の導入
・加齢人間工学の考え方
コラム:四つの障壁
<2>アクセシブルデザインの基本概念
1.ISO/IEC Guide 71におけるアクセシブルデザイン
2.基本概念
3.二つの主要なデザイン手法
・複数の提示方法と操作方法
・加齢や障害による機能変化に適合したデザイン
4.アクセシブルデザインの理論的考察
・アクセシビリティ
・アクセシビリティとユーザビリティ
・アクセシブルデザインと福祉用具
<3>高齢者や障害者の不便さ
1.アクセシブルデザインの出発点
2.社会的要因と身体的要因によって生ずる不便さ
3.不便さの理解と解決のニーズ
・概要
・視覚に障害がある人々の不便さ
・聴覚に障害がある人々の不便さ
・運動や動作に障害のある人々の不便さ
・知的活動に障害のある人々の不便さ
・高齢者の不便さ
コラム:マイナスからゼロへ、ゼロからプラスへ
<4>複数の提示方法および操作方法
1.概要─複数の手段の重要性─
2.複数の情報提示方式
・複数の感覚を用いた情報提示方式
・同一感覚の異なる様式を用いた情報提示方式
3.複数の操作方法
<5>視覚特性と配慮デザイン
1.視覚の加齢変化と障害の概要
・視覚の加齢変化
・視覚障害による機能変化
2.視機能別に見た加齢や障害による変化と配慮デザイン
・分光視感効率と色光の明るさの評価
・識別しやすい色の組合せ(基本色領域と配色技法)
・コントラストと物の見え方
・可読文字サイズ(読める文字サイズ、読みやすい文字サイズ)
・文章のデザイン(文字間、行間、行長)
・有効視野とサイン表示の位置
・報知光の視認性
・暗順応
・明順応
コラム:色相環と「いろポチ」
<6>聴覚特性と配慮デザイン
1.聴覚の加齢変化と障害の概要
・聴覚特性の加齢変化
・音声聴取と加齢変化
・加齢以外の原因による聴覚障害
・発声と加齢変化
2.音を用いたアクセシブルデザイン
・報知音
・音声案内
・音の大きさ評価と音質設計
コラム:聴覚の加齢変化は気づきにくい
コラム:耳は何のためにある?
<7>触覚特性と配慮デザイン
1.触覚の概要
2.触圧感度の時空間特性
・触圧感度
・触覚の空間分解能
・触知熟練者の触圧感度および空間分解能の加齢効果
3.触覚の時間分解能
4.触覚による図形や文字の識別
・触覚図形の大きさ
・触覚図形のデザイン要素
5.触覚テクスチュア
6.温覚・冷覚・痛覚
・温覚・冷覚
・痛覚
<8>味覚・嗅覚・温熱感覚特性と配慮デザイン
1.味覚
・概要
・加齢に伴う味覚の変化
・加齢に伴う味覚障害
・味覚のアクセシブルデザイン
2.嗅覚
・加齢に伴う嗅覚の変化
・加齢に伴う嗅覚障害
・嗅覚のアクセシブルデザイン
3.温熱感覚
・概要
・ヒートショック
・熱中症
コラム:マーケットは意外なところに!
<9>身体特性と配慮デザイン
1.身体特性の概要
2.人体寸法
・人体寸法の変化要因
・身長の年代別変化
・握りのサイズ
3.上肢の動作特性と発揮力
・巧緻性
・つまみ動作の種類と発揮力
・指で押す動作と発揮力
・握力
・瓶の蓋を回す力
・持ち上げ作業時に両手で持てる重さ
・到達域
4.下肢の動作特性と発揮力
・段差昇降(一段)の負担度
・歩行の速さ
・足で押す/上げる力
<10>認知特性と配慮デザイン
1.認知特性の概要
・外界認識のための感覚情報の統合・処理機能
・認知機能の加齢効果と知的障害
2.認知特性の加齢による機能変化と配慮デザイン
・概要
・記憶
・注意特性の加齢変化
・反応時間の加齢変化
・知能の加齢変化
・認知特性の加齢変化の測定例
・認知特性と配慮デザイン
・認知的デザイン
<11>標準化と普及
1.標準化の意義
2.標準化の始まり
3.国際標準化活動
・COPOLCOとGuide 71
・技術報告書TR 22411の発行
4.アクセシブルデザイン規格の開発(TC 159、TC 173の活動)
・TC 159「人間工学」のアクセシブルデザイン規格
・TC 173「福祉用具」のアクセシブルデザイン規格
・TC 122/WG 9「包装のアクセシブルデザイン」における規格
5.その他の分野と今後の活動
6.アクセシブルデザイン関連のその他のJIS
コラム:Dark Restaurant
<12>アクセシブルデザインのガイドライン
1.アクセシブルデザインの基本目標:ユーザーの拡大を目指す
2.ユーザーの拡大のための二つの要件
3.製品・環境・サービスが満たすべき基本的要件(人間工学的システム要件)
・概要
・基本要件─より多くの人が利用できるデザインとする─
・使用性要件─分かりやすい表示や操作とする─
・安全性要件─安全を確保する─
4.多様な人間特性からの要件(ユーザーニーズ要件)
・概 要
・視覚障害者のユーザーニーズとデザインガイドライン
・聴覚障害者のユーザーニーズとデザインガイドライン
・身体(体形・上肢・下肢)障害者のユーザーニーズとデザインガイドライン
・知的障害者のユーザーニーズとデザインガイドライン
・高齢者のユーザーニーズとデザインガイドライン
コラム:アクセシブルデザイン実践のために
■執筆者プロフィール■
佐川 賢 Ken SAGAWA
国立研究開発法人産業技術総合研究所 名誉リサーチャー
東京工業大学大学院修士課程修了。博士(工学)。
国立研究開発法人産業技術総合研究所 ヒューマンライフテクノロジー研究部門上席研究員、日本女子大学家政学部特任教授を経て、現在に至る。
視覚特性の心理物理学的計測手法を用いて、測光、測色、視環境評価に関する研究に従事。薄明視に関する測光システム、色彩環境の快適性評価法、高齢者の視環境評価、アクセシブルデザイン技術等の開発研究に従事。
専門は、視覚心理物理学、加齢人間工学。
倉片 憲治 Kenji KURAKATA
早稲田大学 人間科学学術院 教授
大阪大学大学院人間科学研究科博士課程修了。博士(人間科学)。
国立研究開発法人産業技術総合研究所総括研究主幹、上智大学大学院理工学研究科客員教授を経て、2017年度より現職。
加齢人間工学研究室を主宰。
高齢者の聴覚特性の研究および音を用いたユーザ・インタフェースの開発を行うと共に、聴覚・音響分野の国内および国際標準化活動に従事。
専門は、加齢人間工学、聴覚心理学、騒音評価。
伊藤 納奈 Nana ITOH
国立研究開発法人産業技術総合研究所 人間情報インタラクション研究部門 副研究部門長
慶應義塾大学大学院政策メディア研究科修了。博士(学術)。
早稲田大学理工学部および同大学院で建築学を専攻後、イリノイ大学School of Architecture 修士課程で学び、国内外で建築設計に従事。
1999年より慶應義塾大学博士課程で高齢者の歩行時の眼球運動を研究。
2004年より国立研究開発法人産業技術総合研究所にて主にロービジョンの視覚機能の研究とその標準化に従事。
近年、ISO におけるアクセシブルデザイン技術の国際標準化に従事。
専門は、人間工学、視覚心理学。