SSK 株式会社 新社会システム総合研究所

ナノインプリント

-次世代微細加工技術の最前線-

商品No.
R02V1071
出版月
2024年 7月
価格

印刷タイプ 67,100円 (税込)

ページ数
B5判 216ページ
発行<調査・編集>(株)シーエムシー出版
備 考
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レポート内容
■ポイント■
 ・脱炭素・省エネの観点から注目されるナノインプリント技術!
  低コストかつシンプルなプロセスで高精細な微細加工を実現する!
 ・半導体、光学、ライフサイエンス分野など産業分野での幅広い活用が進む!
 ・離型処理、離型処理後のモールド評価、モールド材料・設計技術、プロセス最適化のためのシミュレーション、装置、欠陥対策、クリーン化、
  適用事例、受託動向を収載し、ナノインプリントの実用化に向けた要素技術を徹底解説!

■概要■
 ナノインプリント技術は、1995年に、当時ミネソタ大学のS. Chou先生がナノインプリント技術を提唱されて、30年近くが経ちました。当初、ナノインプリントリソグラフィとも名付けられ、当時の量産型先端フォトリソグラフィ技術のおよそ10倍の解像性が示され、次世代半導体製造技術としてロードマップにも採り上げられた時期がありました。その後、反射防止構造などのサブ波長の光学要素を中心に、多くの工業製品への応用が図られてきました。このようなナノインプリント技術の源流は、遥か数千年を遡り、世界四大文明の一つで、チグリス、ユーフラテス流域で発祥したメソポタミア文明にたどり着くことができます。
 メソポタミア文明は、人類最初の「文字」とされる楔形文字を生み出し、石に刻んだ法律文書を、チグリス、ユーフラテス川流域にある肥沃な粘土に押し当てて(インプリントし)、いわばコピーを造ったと言われています。今でいうと、エンボス技術が最も近い技術になります。この技術は、シルクロードを通じて現在の韓国に伝わり、木版技術として工業化されました。ここでは、円筒形の木版によるロールtoロール式のエンボス技術も開発され、経典が大量に「印刷」されました。一方、ヨーロッパに伝わったこの技術は、グーテンベルグによりアセンブル可能な金属金型を用いて、インクを紙に転写する現在の印刷技術の原型へと発展しました。
 その後、Chou先生により、ナノサイズの加工が示され、先端技術への応用が期待されました。しかし、当初期待された最先端の半導体技術への導入は、液浸露光法やダブルパターニング、そしてEUVリソグラフィ技術の目覚ましい発展などにともない、若干影が薄くなっていたことも否めません。
 一方で、他の微細加工技術にはない、ダイレクトナノインプリント、リバーサルナノインプリント、ハイブリッドナノインプリントなどの特徴あるプロセス技術の創成や、それらに対応する材料技術の開発も行われ、多才なナノ加工技術として定着してまいりました。これに伴い、研究開発は一段落し、2010年ごろから学術論文の発表件数は減少の一途をたどっていました。
 しかし、直近の数年間の学術論文の発表件数は、再び増加傾向を示し、新しい局面に入ったことを裏付けています。これは、ナノインプリント技術が、学術的にも産業的にも、再び熱い視線が注がれていると言える状況にあることを物語っているものと言えましょう。その一つが、低コストを生かした半導体フロントエンドプロセスへの適用と、メタバースなどの高機能光学要素の工業化です。
 本書では、国内の産官学を代表する研究者、技術者の皆様より、ナノインプリント技術の基礎的な内容と、最新の応用展開につきまして、その技術情報を幅広く紹介するものです。
-CONTENTS-
【第Ⅰ編 ナノインプリント概論】
<1>ナノインプリントの基礎
1.熱ナノインプリント・ダイレクトナノインプリント技術
2.光ナノインプリント
3.離型プロセス

<2>ナノインプリントの進展と今後の展望・課題
1.はじめに
2.ナノインプリント技術の進化
3.今後の展望
4.おわりに

<3>受託ナノインプリントの動向
1.はじめに
2.当社のナノインプリントビジネス
3.分野別受託ナノインプリント加工例
4.ナノインプリントの要素技術と周辺技術の受注状況
5.今後のナノインプリント受託加工の取り組み

【第Ⅱ編 モールド・テンプレート設計技術】
<1>陽極酸化によるナノインプリント用モールドの作製と無反射レンズ形成への応用
1.はじめに
2.アルミニウムの陽極酸化によるモールドの作製
3.ナノインプリントによるモスアイ構造を有するレンズの作製
4.薄膜形成プロセスを利用したレンズ形状を有する陽極酸化ポーラスアルミナモールドの形成とナノインプリント
5.射出成型によるモスアイ構造を有するレンズの作製
6.最後に

<2>ガス透過性多孔質モールドの研究進捗
1.はじめに
2.ガス透過性多孔質モールド
3.有機系ガス透過性多孔質モールド
4.無機系ガス透過性多孔質モールド
5.まとめ

<3>光硬化性樹脂のナノインプリントへの応用
1.はじめに
2.電子部品用の永久膜への応用
3.光部品用の永久膜への応用
4.リソグラフィ用多層膜エッチングマスク
5.凝縮性ガスを導入する光ナノインプリントリソグラフィと光硬化性樹脂
6.おわりに

<4>光学向けインプリント用材料
1.はじめに
2.光学分野へのUVナノインプリント活用
3.高屈折率ナノインプリント樹脂の開発技術
4.まとめ

<5>三次元構造
1.はじめに
2.電子ビーム露光による三次元モールド作製技術
3.三次元状ロールモールドの作製方法
4.おわりに

【第Ⅲ編 プロセス最適化・シミュレーション】
<1>シリカナノ粒子の吸着を利用したナノインプリント表面充填構造の形成
1.はじめに
2.ナノ微粒子の吸着によるナノインプリント表面の充填
3.シリカナノ粒子によるコーティング技術(ナノストラータ(R))
4.シリカナノ粒子によるナノインプリント表面充填構造の形成
5.光学素子への応用
6.まとめ

<2>UV-NILを用いたシリコンフォトニクスプロセスの開発
1.はじめに
2.各種リソグラフィ技術の比較と集積フォトニクスにおける要求性能
3.シリコンフォトニクスプロセスへのUV-NILの導入
4.おわりに

<3>熱ナノインプリントによるポリ乳酸フィルム表面のナノ周期パターン形成
1.はじめに
2.研究方法
3.PLAフィルム表面の原子ステップ超平坦化
4.まとめ

<4>レジンのUV収縮と熱変形による転写誤差の数値シミュレーション
1.二重の転写誤差が発生するメカニズム
2.レジンの材料特性の測定
3.レジン材料特性の数値モデリング
4.転写誤差シミュレーションの妥当性確認

<5>ディープラーニングを利用したナノインプリントプロセス・材料の設計
1.はじめに
2.グリセリン添加ポリビニルアルコール(PVA)の低温ダイレクト・ナノインプリント
3.ディープラーニングによるナノインプリント結果の予測
4.シミュレーション予測とのハイブリッド化による予測範囲の拡張
5.おわりに

【第Ⅳ編 装置・適用事例】
<1>ナノインプリントリソグラフィ装置の進展と応用
1.はじめに
2.ナノインプリントリソグラフィ装置の利点
3.装置のインプリント手法(J-FIL)
4.装置性能
5.ユーザビリティ
6.ナノインプリントリソグラフィ装置の今後

<2>半導体デバイス製造用ナノインプリントリソグラフィのクリーン化技術
1.ナノインプリントリソグラフィの課題
2.NILプロセスで発生する欠陥
3.NIL装置のクリーン化技術
4.終わりに

<3>ナノインプリントリソグラフィと反応性イオンエッチングを用いたデュアルダマシン構造形成
1.はじめに
2.NIL用いたデュアルダマシン構造形成の課題
3.NILプロセス
4.RIEプロセス
5.まとめ

<4>ナノインプリント・リソグラフィを用いたメタレンズ製造
1.イントロダクション
2.NILプロセス チェーン:シングルマスターからHVMまで
3.プロセス結果
4.これらのプロセス機能を利用するために
5.まとめと結論

<5>実用ナノインプリント技術(ロールtoロール装置、UV-NILを中心に)
1.はじめに
2.RTR-NILの装置構成
3.RTR UV-NILの転写特性
4.金属ナノパターン転写技術
5.プラスチック上の金属細線のRTR UV-NILでの転写結果
6.おわりに

<6>バイオミメティクスを用いた防汚機能を有する胆管ステントの開発
1.はじめに
2.バイオミメティクス技術
3.防汚機能を有する胆管ステント
4.カタツムリの殻構造を模したナノ構造を有するモールドの作成
5.ステント用防汚シートの製作
6.胆管ステントの製作と通液テスト
7.動物実験
8.まとめ

<7>モスアイ型反射防止フィルム
1.蛾の眼とバイオミメティクス
2.モスアイ構造が反射を抑える理由
3.モスアイ構造の大きさとナノインプリント
4.自己組織化現象を適用した超大型モスアイ金型
5.光インプリントによるモスアイフィルムの作製
6.モスアイフィルムの反射防止性能
7.モスアイフィルムの可能性

<8>ナノインプリント製局在表面プラズモン共鳴型バイオセンサの開発
1.はじめに
2.「プラズモン共鳴」のバイオセンサへの応用
3.ナノインプリント製局在表面プラズモン共鳴型バイオセンサの開発
4.おわりに

<9>UVナノインプリント技術を利用したLA-ICP-MS単一細胞元素分析用試料導入デバイスの開発
1.はじめに
2.方法
3.結果と考察
4.LA-ICP-MS単一細胞元素分析におけるUVナノインプリント技術利用の課題と展望
5.まとめ

■監修■
平井 義彦
大阪公立大学;大阪府立大学名誉教授
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