【ベトナム現地調査にみるOEMの近未来】
日系OEM東南アジア戦略の危機〜ベトナムの堅調なシェア総崩れの懸念、中国のEV出遅れ鮮明〜
株式会社Tech-T 代表取締役/埼玉工業大学 客員教授
(元トヨタ自動車/Samsung SDI) 博士(工学)
高原 忠良(たかはら ただよし) 氏
ベトナムでは、日系OEMが圧倒的なシェアを占めていました。特に、トヨタ自動車の戦略開発車のIMVシリーズやカローラベースのセダンは、ハノイ・ホーチミンともに街中のどこでも見かける状況でした。一方で、ベトナム現地の電気自動車会社のビンファストのBEVが急拡大しています。ベトナム北部では韓国系のクルマも目立っていました。
上海での電気自動車普及状況調査では、中国系が圧倒的シェアを確保しており、日系はほぼ皆無でした。ベトナム市場の近未来として、日系OEMの総崩れを懸念せざるを得ません。
なぜ、トヨタ自動車は東南アジアで大成功を収めたのか、中国で高い人気を得ることができたのかを振り返ることは今後の予測として価値があります。また、BYDやHyundaiグループのBEVのプラットフォーム戦略とトヨタのマルチパスウェイ戦略を比較します。
トヨタ内部でその戦略に触れてきた講師自らのアジア地区現地調査による分析です。
自動車関連の部品・素材メーカなどの戦略の参考となるセミナーです。
1.現地調査から
(1)ベトナム ホーチミン・ハノイ
(2)中国 上海
(3)韓国 ソウル
2.大成功のトヨタ自動車の東南アジア戦略
(1)インドネシア発、タイで熟成したIMV
(2)中国向け専用車の東南アジア展開
3.OEMのプラットフォーム戦略
(1)トヨタのTNGA
(2)BYD、HyundaiグループのBEV専用プラットフォーム
4.カーボンニュートラルを再整理
(1)地球環境問題
(2)走行エネルギーと脱炭素
(3)BEVは伸びるか? さらなる新興勢力は?
5.今後の方向性やビジネスチャンス
(1)トヨタのマルチパスウェイ戦略
(2)政治と地政学
(3)ビジネスチャンス探訪
6.まとめ
トヨタ自動車においては、バンパやインパネ、ガソリンタンクなどのプラスチック材料や成形加工の開発と量産化、さらにその評価のためのデジタル技術の構築と実務展開に従事しました。その後、韓国サムスン系の第一毛織(現ロッテ先端素材)では、エンジンプラスチックの自動車用途開発を担当し、日本・中国・タイの自動車メーカと協業しました。2020年からは、株式会社Tech-Tにて今後の車載プラスチック動向の調査分析と情報発信に取り組んでいます。特に近年は各種EV・FCVの試乗評価。中韓の現地調査などを元にオリジナルの視点でコメントを発信しています。プラスチック成形加工学会、自動車技術会 会員。
新日本無線株式会社(現社名:日清紡マイクロデバイス) 高融点金属・セラミックの研究。トヨタ自動車 樹脂部品生産&材料・加工技術・CAE開発。Samsung SDI(韓国本社) エンプラ研究所。大手自動車メーカ 研究所 次世代車要素技術開発。2017〜現職 埼玉工業大学 客員教授。・2020〜現職 株式会社Tech-T(ビジネスブランド名:技術オフィスTech-T)設立。