COP27の結果を受けた国内外の動きと企業判断
〜GX-ETS、CBAMや米国提案、ICAO決定を包括し考察〜
(公財)地球環境戦略研究機関
上席研究員/シニアフェロー
(有)クライメート・エキスパーツ 代表取締役
松尾 直樹(まつお なおき) 氏
COP27での決定事項などから、まずは、現在のわれわれのおかれている状況を振り返ります。
国際制度面では、パリ協定実施の動きに加え、G7サミットで提唱されたクライメートクラブが動き出そうとしています。その他の国内外の動きとしては、国内ではGXという標語のもとでの各種の動きがある中で、GX-ETSという国内排出権取引制度が来年度から動き出します。国際的にも、EUの提唱するCBAM(炭素国境調整メカニズム)に加え、米国がやや異なった提案をEUに対して行ってきています。国際航空を司るICAOは、2050年ネットゼロの決定を行いました。
また、企業とすれば、各種の社会的要請が生まれる中、自社がそれに対応する必要性という観点に加え、他者がその要請に応えるためのサービスというビジネス機会が訪れてもいます。
このような中で、企業として、将来の不確実性のどう対処すればよいのか?ほぼ間違いなく言えることは何か?どのように「打って出る」ことができるか?などを考察いたします。
1.気候変動に関する国際的な枠組みの流れを理解する
(1)気候変動枠組条約・京都議定書・パリ協定の意味合い
(2)COP27の結果を考える
(3)2030-2050年目標に向けて
(4)G7サミットとクライメートクラブ
2.国内外の動き
(1)GXに向けての動き
(2)カーボンプライシングとその展望(GX-ETSを中心に)
(3)CBAMと米国の代替案
(4)ICAOの決定
3.企業活動を巡る各種の社会的な要請
(1)自社への要請とその対応
(2)他者への要請へのサービス提供
4.企業判断の考え方
(1)不確実性への対応
(2)ロバストなものはなにか?
(3)新しい価値創造へのチャレンジ
■現在
(有)クライメート・エキスパーツ 代表取締役 (温暖化コンサルティング) (2002-)
(株)PEARカーボンオフセット・イニシアティブ 代表取締役 (途上国ビジネス) (2007-)
(株)クールイノベーション 取締役 (革新的冷蔵技術・途上国コールドチェーン) (2020-)
(公財)地球環境戦略研究機関 上席研究員/シニアフェロー (気候変動戦略研究) (2017-)
慶應義塾大学 非常勤講師 (大学院低炭素関係) (2009-) 等
■その他
(財) 日本エネルギー経済研究所 (気候変動と電力の研究) (1991-1998)
(財)地球環境戦略研究機関 (気候変動問題戦略研究) (1998-2002)
(財)地球産業文化研究所 (IPCC) (1998-2001) 等
大阪大学大学院理学研究科物理学専攻 博士後期課程修了 (理学博士)