SSK 株式会社 新社会システム総合研究所

差し迫る温暖化危機の中、
各国の電動車動向と近未来に向けた現実的な戦略

〜進めるべき自動車産業の対応策とは〜

商品No.
O22098
開催日
2022年 3月14日(月)
価格
1名につき 33,800円(税込)
同一のお申込フォームよりお申込の場合、2人目以降 27,500円(税込)
備 考
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3月14日(月)

差し迫る温暖化危機の中、
各国の電動車動向と近未来に向けた現実的な戦略

愛知工業大学 工学部 客員教授
[元トヨタ自動車(株)] 博士(工学)
藤村 俊夫(ふじむら としお) 氏

[セミナー参加対象者]
・企業で技術戦略を立案されようとしている方  ・これからの自動車及びシステム、部品開発に携われている技術者の方
・エネルギ関係の業務に携わっている方  ・企業で経営方針立案に携わっている方

[セミナーで得られる知識]
・エコ社会実現に向けCO2低減は待ったなしの超緊急課題であり、産業界がこれを認識すべき理由
・パリ協定自主目標、さらに規模しい国連気候行動サミットに目標を達成するために必要な、あるべきCO2基準強化案の考え方
・各国政府が掲げる野心的な電動化戦略の背景
・自動車産業の戦略の基本は、エンジン車、電動車すべてを対象とした全方位開発と、燃料及び電力のグリーン化推進である理由
・自動車の将来シナリオ策定において配慮すべき項目と検討手順

[重点講義内容]
地球温暖化による気候変動が、人類の生活に甚大な影響をおよぼし脅威を増す中、2016年にパリ協定が発効されたにもかかわらず、CO2排出量はいまだピークアウトせず、産業革命以降の平均気温は既に1.1℃上昇している。2019年9月の国連気候行動サミットにおいては、パリ協定で合意した『平均気温上昇2℃以下とし1.5℃を努力目標』では気候危機の連鎖を食い止めれないという解析結果をもとに、『1.5℃以下必達』にあらためることが各国に提案された。それを受け先進国、新興国の大半はこれにコミットしたのである。但し、昨年、英国グラスゴーで開催されたCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)においては、1.5℃以下を実現するための具体的目標である、『2030年までにCO2を現状の45%まで低減、2050年に排出ゼロ』に対し、先進国はこれを意識した目標を提示するも、ワースト1の中国とワースト3のインドは、依然前向きな目標は提示していない。十分な資金と技術援助なしで、厳しい目標提示を要求することが難しいことを、先進国は認識する必要がある。
コロナウイルスの蔓延により経済はリーマンショックを上回るダメージを受け、経済活動が停滞したことで環境が改善し、皮肉にもCO2も前年比で-5.8%と初めて減少に転じた。温暖化とウイルスは無縁ではなく、北極圏の永久凍土が溶ければ、そこに封じ込まれた2万数千種類の未知のウイルスと細菌が地表に出てくる。温暖化に歯止めをかけなければ、自然災害とウイルスの蔓延という脅威が年々拡大し、経済成長どころではなくなるのである。
持続可能な社会の実現に向け、CO2削減は待ったなしの緊急課題であることは自明であり、自動車産業のみならず、エネルギー資本、電力セクターなどすべての産業は環境改善と経済成長を目指した変容が必要になる。世界全体の排出量330億トンの内18%を占める4輪車は、エンジン車などの燃料を石油系からグリーン燃料に転換し、併せて技術の完成度を見極めながら電動車への普及拡大を進めることが必要となる。エネルギーのグリーン化(電力、燃料)戦略なくして、2030年までにCO2を45%削減することは難しい。主要国政府の大半は2030年から2035年までにエンジン車などの、販売を禁止するという目標を表明したが、技術に裏付けされたものでないことは明白である。ここでは、それらの表明に至った背景について解説し、果たして技術の完成度、ユーザーニーズ、雇用、資源なども考慮した時に、エンジン車などを販売禁止としBEVを誘導することが、実質のCO2削減において現実的な解となり得るのかを紐解きたい。併せて、CO2削減目標を達成するための現実的な戦略も提示する。

<第1章>気候危機の脅威
1.世界のCO2排出と気候変動への影響 
2.2019年9月、気候行動サミット受け、各国が表明したCO2削減目標
3.IPCC(気候変動に関する政府間パネル)6次レポートの概要
4.COP26の成果と課題

<第2章>燃料、電力のグリーン化なくしてCO2削減目標45%は達成できない 
1.世界の1次エネルギー構成、電力のエネルギー構成の現状と今後の予測
2.日本の稚拙なエネルギー基本計画と電力のエネルギー構成
3.1次エネルギーすべてを対象としたグリーン化の重要性
4.グリーン電力とグリーン燃料(微細藻類バイオ、水素、e-Fuel、合成メタン、アンモニアなど)はエネルギー政策の2本の柱 
5.グリーン燃料導入とエンジン車、電動車すべてを含めた全方位開発の必要性
6.自動車改良技術の全体俯瞰  
7.バッテリー改良技術の動向
8.WtW(Well to Wheel)、LCA(Life Cycle Assessment)で評価した、BEVのHEVに対する優位性の有無
9.グリーン燃料(水素、e-Fuel、合成メタンなど)開発の動向  10.オフグリッドプラントによるグリーン燃料製造

<第3章>各国地域の基準強化および電動化動向
1.世界の今後の新車販売台数増減要因と地域・国別の販売台数予測  
2.各国・地域における、2021〜2030年までのCO2基準値とその妥当性 
3.新車の電動化だけでは、既販車を含めCO2 45%の削減は不可能
4.各国、地域政府の電動化表明とその裏にある政治的思惑
5.各国主要メーカの電動化戦略
6.世界のBEV、PHEV販売動向の分析
7.欧州2021年CO2規制で苦境に喘ぐ欧州メーカ
8.EUがとる、欧州メーカ救済のための様々な優遇措置
9.BEV一辺倒からHEVに舵を切った中国
10.中国で一気に加速する超小型BEV(LSEV)

<第4章>自動車産業の近未来に向けた技術戦略
1.電動車展開における優先順位とその背景
2.今後の世界の新車販売台数の現実的な予測
3.世界における、エンジン車、電動車構成比率の推移(あるべきシナリオ)
4.保有車を対象とした、CO2削減効果と石油消費量削減効果の算出
5.自動車の改良、電動車導入、燃料グリーン化で2030年のCO2 45%削減は実現可能
6.各国地域における、現在のCO2基準の妥当性検討(上記シナリオとの比較)
7.電度車拡大の可能性検討(HEV、PHEV販売が鍵を握る)
8.2030年に向けたバッテリー供給量予測
9.将来モビィリティーの棲み分け
10.Smart Cityを視野に入れた自動車メーカの将来戦略

<第5章>まとめ
政府への提言と自動車産業が今後推進すべき対応策

藤村 俊夫(ふじむら としお) 氏
1980年に岡山大学大学院工学研究科修士課程を修了し、トヨタ自動車工業入社。入社後31年間、本社技術部にて、新規エンジン開発、制御システム開発などに従事した。2011年より愛知工業大学工学部 機械学科教授として熱力学、機械設計工学などの講義を担当。2018年4月より愛知工業大学工学部客員教授となり、自動車関連企業の顧問をはじめ、コンサルティング、寄稿、講演活動を行う。 
活動(研究歴、所属学会、著書など): 自動車技術会 論文校閲委員。
2003年「ディーゼルPM、NOx同時低減触媒システムDPNR」で日本機械学会技術賞受賞など。
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