松阪市民病院で実践された
松阪市民病院 総合企画室 副室長
世古口 務(せこぐち つとむ) 氏
2008年3月に市立伊勢総合病院を退職し、同年4月より松阪市民病院に勤務し、14年が経過しました。当時の松阪市民病院の経営状況は、どん底状態にありました。2008年4月のDPC/PDPS導入を契機に全職員が危機意識を持ち、意識改革とチーム医療により大幅な経営改善を達成し、8年連続で医業収支率100%超となっています(新型コロナ感染の影響で2020年度の医業収支率は96.7%)。経営状態不良の原因を単に医師不足と診療報酬制度のせいにするのは間違いです。DPC/PDPSが導入されてからほぼ20年が経過していますが、いまだに昔式のやり方、考え方のままで病院運営を実施している病院が多くみられます。DPC/PDPSと診療報酬制度を正しく理解し、実践し、継続していくことで病院経営は大きく変貌します。
Ⅰ.DPCに関連した項目
1.予定入院手術、予定検査患者の外来にての検査完璧化
2.術後予防的抗生剤の使用の検討
3.副傷病の重要性
4.7日以内の再入院ルール
Ⅱ.診療報酬制度に関連した項目(加算、指導料、管理料の算定)
1.入院患者の外泊についての再認識
2.薬剤管理指導料の算定
3.救急医療管理加算の算定
4.特別食加算、入院栄養食事指導の算定
5.リハビリテーションの充実
6.退院時リハビリテーション指導料の算定
7.周術期口腔機能管理の検討(口腔ケアの実践)
8.入退院支援加算の算定
9.認知症ケア加算の算定
10.せん妄ハイリスク加算の算定
1972年 三重県立大学医学部卒業/1974年 三重大学医学部付属病院勤務、医局長、兼講師/1986年 市立伊勢総合病院 外科医長/1994年 市立伊勢総合病院 副院長/1997年 市立伊勢総合病院 院長(49歳)/2004年 伊勢市病院事業管理者兼院長/2008年 同 退職(任期途中)/同年 松阪市民病院 診療部経営担当/2009年 東海コンソーシアム代表世話人/2010年 松阪市民病院 総合企画室 副室長
【講演会】
2020年末までに主な講演会(北海道〜沖縄県):317回
【著書】
『DPC/PDPS導入を契機にした自治体病院の経営改善』(日本医学出版)
『「ジョン・P・コッターの8つの変革ステップ」からみた、松阪市民病院経営改善の検証』(日本医学出版)
『意識改革とチーム医療による病院経営改善』(経営書院)
『必ず役に立つ病院人事評価制度導入の手引き-あの松阪市民病院の実践例』(マスブレイン社)